研究について

研究について

聖マリアンナ医科大学 総合診療内科では、現場で生まれた臨床疑問を出発点として、診療・教育・医療安全に関する多面的な研究に取り組んでいます。医師の育成や医療の質向上に資する研究を通じて、総合診療領域の発展に寄与しています。主な研究テーマについて紹介します。

1.診療

誤嚥性肺炎は総合診療領域で頻度の高い疾患のひとつです。抗菌薬での治療のほかに内服薬の整理や食形態の調整、リハビリの早期介入など多面的な介入が重要になります。

当科の片山医師は誤嚥性肺炎の適切な食事開始時期について過去起点コホート研究で報告しました(Clin Nutr. 2022;41(10):2219-2225.)。

当科では、現場で生まれた臨床疑問を研究に昇華する研究活動を行っていきます。

*研究秘話:

誤嚥性肺炎の研究は、片山医師が当時所属していた白河厚生総合病院で行いました。研究成果は地方紙に掲載されました(https://noriaki-kurita.jp/res-2023-graduation-katayama/)が、誤嚥性肺炎の患者さんと家族から同院へ問い合わせが多く寄せられたそうです。誤嚥性肺炎への関心の高さを改めて実感しました。

2.教育

患者のもとで医学を学ぶ「ベッドサイド教育」は長らく医学教育で重要視されてきました。しかし、日本で「ベッドサイド教育」の可視化は行われていませんでした。当科の片山医師と大平医師は本邦の臨床研修医を対象とした横断研究でベッドサイド研修時間の実態を明らかにし、基本的臨床能力との関連を報告しました(J Gen Intern Med. 2025;40(8):1768-1775.)。現在は、医学生を対象にしてベッドサイド研修時間のより正確な測定に取り組んでいます。

メンター制度は、より経験豊かな医師(メンター)と若手医師や医学生(メンティー)との、キャリア形成・専門的成長・心理的支援などを目的とした相互に成長しあう関係性を指します。卒後臨床研修が必修化された2004年頃から本邦の医療現場でも注目され始め、多くの病院でメンター制度が取り入れられています。一方で、メンター制度への理解不足から十分に機能していないのではないかという声もあります。という指摘もあります。当科の片山医師と大平医師は本邦の臨床研修医を対象とした横断研究でメンター制度の実態と抑うつとの関連を報告しました( J Gen Fam Med. 2023;25(1):62-70.)。私たちはこうした研究を通じてメンター制度の理解を深め、日本の医学教育の向上に寄与したいと考えています。
(J Gen Intern Med. 2025;40(8):1768-1775.)。現在は、医学生を対象にしてベッドサイド研修時間のより正確な測定に取り組んでいます。

教育現場 教育現場

3.医療安全

「Do no harm(害を与えない)」はヒポクラテスの誓いに記された医学の大原則です。私たちの医療行為は患者さんに悪影響を与えることがあります。そして、診療において私たちは完璧ではありません。当科の片山医師は日本の尿道カテーテルの適正使用(BMC Infect Dis. 2022;22(1):175.)や診断エラーの現状(Diagnosis (Berl). 2025. in print)を研究発信することで医療安全の重要性を発信してきました。当科では医療安全の視点に立った研究を通じて真に患者に寄り添った診療を目指します。

*研究秘話:

米国病院総合診療医学会に参加するため成田空港に立ち寄った際に、当科の客員教授の徳田安春先生と診断エラーについてディスカッションしたのが、この研究の端緒でした。それから5年が経ち、同じ志を持つ全国の仲間の協力のもと成果を世に問うことができました。データ解析や論文化でつまづいても、徳田先生はじめ仲間から助けてもらいながら生まれた研究成果です。